リハビリテーションを学びたい方

今をみつめ、未来をつくる。「命」に寄り添うリハビリテーション

研修の特徴

大学病院をはじめ、関連研修施設には都市型の総合病院、回復期病床をもつリハビリテーション専門病院、小児や在宅リハビリテーションなど専門性の高い研修を行うことができる施設が幅広く揃っています。このため研修プログラムの3年間で、大学病院や総合病院における急性期リハビリテーションの研修、回復期病床における回復期の研修、専門性のあるリハビリテーション医療の研修、の3本柱から成る研修が可能です。さらに維持期(生活期)のリハビリテーション、障害者福祉なども経験することができます。3年間でどのような経験を積むかは個々の目標により異なるため、専攻医の希望に合わせてオーダーメイドで検討します。

名大病院リハビリテーション科の得意分野

その①「多種多彩な臨床経験」

当院は1,035の病床をもつ特定機能病院であり、多分野で高度な医療を提供しています。周辺地域だけでなく、日本全国から稀な疾患・障害をもつ患者さんも集まり、リハビリテーション科には年間約5,000件もの依頼があります。一般的な疾患から希少な疾患まで、また新生児から超高齢者まで、さらに急性期から生活期まで、他では類を見ないほど多様な患者さんに出会え、最先端の治療に合わせたリハを提供できることが当院の最大の特徴です。特に力を入れている分野として、超急性期や移植医療を始めとした高度医療に際するリハビリテーション、基幹病院や小児がん拠点病院として役割を担うがんのリハビリテーション、総合周産期母子医療センターにおける未熟児や早産児、先天性疾患をもつ新生児のリハビリテーション等があります。また診断が難しいことで他院から紹介される神経難病を始めとした希少な疾患では、リハビリテーション評価が診断の一助の担うこともあります。

その②「チーム医療の充実」

リハビリテーションには多くの職種が関わります。それぞれが個々に行動するのではなく、医療チームとして機能し大きな力を発揮できるよう全体をマネジメントすることが、リハビリテーション科医師の大きな役割の一つです。当院では、ICT(感染対策チーム)、褥瘡対策チーム、NST(栄養サポートチーム)、緩和ケアチーム、RST(呼吸ケアサポートチーム)、DST(糖尿病サポートチーム)、認知サポ(認知症サポートチーム)といった医療チームがあり、全てにリハビリテーションスタッフが関わっています。機能的なチーム医療が行えるよう、またチームの中での役割が適切に担えるよう、日々心がけています。またそのために、多職種のカンファレンスを開催・参加することを重要視しています。部署全体や診療チーム単位で行われるものはもちろん、病棟カンファレンス、退院時カンファレンス、学校カンファレンス、小児在宅カンファレンスなど、多職種で積極的に意見を述べあい、より良い医療を追求しています。診療科を超えたカンファレンス(小児科肝移植カンファレンス、小児脳腫瘍カンファレンス等)もあり、様々な分野での交流が広く行われています。

その③「風通しの良い職場環境」

リハビリテーションは多様性を重んじる診療科です。当院では医師それぞれの個性も尊重し、「やりたいことができる」環境を整えることに重点を置いています。前述のように他職種や他診療科の医師との風通しが良く、協力を得られやすい環境があります。また働き方にも柔軟性があり、世の中からのニーズも非常に高く、関連病院が多い当院ならではの様々なロールモデルを提供することができます。男性にも女性にも選択しやすいと考えます。
(女性医師向けのページはこちら、もちろん男性もどうぞ)

先輩からのメッセージ その1

もともとスポーツが好きで、スポーツドクターになりたいと思っていました。リハビリテーション科の初期研修ローテートを通して、リハビリテーション医学は年齢や性別、臓器別の疾患に限定されずに患者と関わることができ、そこで得た知識や経験はスポーツにも応用できると感じました。名大病院だけでも幅広い経験が積めますが、急性期、回復期、生活期それぞれの関連病院もあり、ニーズに応じた研修が可能である点も魅力の一つでした。私は生活期のリハビリテーションにも興味があり、在宅診療を行う医療機関でも研修を行なっています。実際に働いてみてやりがいを感じていることは、様々な疾患や生活背景を持つ患者さんにそれぞれどんな事が必要かを考え、実行し、実際に良くなっていく姿を見ていけていること、そうした姿を自分だけでなく、チームで共有でき、チーム医療を体感できていること、などです。

また、上級医、他診療科の医師、療法士さんや他のコメディカルスタッフとの風通しがよく疑問に思ったことはすぐに解決することができますし、夜間や休日の当直や待機が今ところ義務でなく(希望があればできる)、勉強会参加やプライベート充実もしやすく、色々やりたいことがある欲張りな方には、もってこいだと思います。

今後は、リハビリテーションとスポーツを軸に、スキルアップを積んで広く活躍していきたいと思っています。ぜひ一緒に勉強しましょう。

先輩からのメッセージ その2

中村 匡孝

リハビリテーション科を選んだ理由

 私は、元来脳神経内科志望だったこともあり、予てから運動制御機構や高次脳機能といった分野に関心がありました。そのため、初期研修終了後には一度、他院で内科ローテート研修を開始しました。しかし、多くの脳卒中や変性疾患を有する患者さん達が、急性期を乗り越えてもQOLが入院前と比して格段に低下している現状を目の当たりにし、このままで良いのかと自問自答を繰り返す日々を過ごしていました。色々と葛藤はあったものの、自身の理想とする道を追求した結果、リハビリテーション医学の存在を知り、2020年より同科への転向に至りました。

業務内容

 基本的には各患者さんのニーズに応じたリハ処方、嚥下内視鏡検査・造影検査を通じた嚥下機能評価、円滑にリハを進めるための現状把握を兼ねた回診を行っています。また、関連施設での勤務もさせていただいています。

 リハビリテーション医学は障害学であり、疾患そのものの治癒よりも障害の程度の把握・改善に焦点が置かれています。各患者さんの退院・転院後を見据え、いかにすればその人が自分らしく生きられるかを探っていくことが求められます。リハビリテーションの手段に加え、どの装具・補助具が必要か、どの社会資源(介護認定・障害者認定)を使うのか…といった内容の検討は、時として頭を悩ますこともあるものの、障害が改善した状態で患者さん達が退院・転院していく姿を見られる悦びは、何にも代え難いものです。そのような想いを希望者の皆さんとも共有出来れば幸いです。